S80の統計備忘録

頑張って統計の勉強をしています。

【確率分布】2項分布の確率関数、確率母関数、期待値、分散

2項分布の話をします。

2項分布とは

コインの表裏、勝ち負け、成功・失敗のように、2値の確率変数を取る確率分布を2項分布と言います。このように2通りのみの確率的試行をベルヌーイ試行(Bernoulli trial)と言います。

例えばコインの表裏なら、確率 pで表が出るコインを n回投げる、というケースを考えます。

確率関数

2項分布の確率関数は以下の数式で表されます。


p(k) = {}_nC_k p^k (1-p)^{n-k}

コインの表裏を例に取ると、まず {}_n C_k は、コインをn回投げて表がk回出る組み合わせの数を意味しています。次に p^ k (1-p)^{n-k} は、表が k回、裏が n-k回出るときの確率を意味しています。

確率母関数

確率母関数は以下の通りです。この確率母関数を1回微分することで期待値を、2回微分した値を使って分散を求めることができます。

 \begin{eqnarray}
G(s) &=& \sum_{x = 0} ^ n s^x {}_n C_x p^x (1-p)^{n-x}\\&=& \sum_{x = 0} ^ n {}_n C_x (sp)^x (1-p)^{n-x} \\&=& (sp + 1 - p)^n \\&=& (1 + p(s - 1))^n\end{eqnarray}

2行目から3行目への変形には2項定理が用いられています。

ここでは、こちらを参考にしています。

ここで、階乗モーメントを確認しておきます。確率変数 X k次までのモーメントが存在する場合、以下の式が成立します。

 \begin{eqnarray}
G^{(k)} (1) = E[X(X-1) \cdots\ (X - k + 1)]
\end{eqnarray}

期待値

上記の確率母関数を1回微分することで、期待値を計算できます。

 \begin{eqnarray}
\frac {dG(s)} {ds} &=& \displaystyle E[X]\\
&=& np(1 + p(s - 1))^{n - 1}\\
&=& np
\end{eqnarray}

上記より、2項分布の期待値は npであることが分かります。試行数と確率の積が期待値でした。

分散

続いて分散を求めます。まず分散は、2乗の期待値から期待値の2乗を引く、以下の式になります。

 Var(X)=E[X^ 2 ] - E[X ]^ 2

次に、確率母関数を2回微分します。まず1回微分の結果はこちらでした。

 \begin{eqnarray}
\frac {dG(s)} {ds} &=& np(1 + p(s - 1))^{n - 1}\\
\end{eqnarray}

上記の結果をもう一度微分します。このとき s = 1です。

 \begin{eqnarray}
\frac {d^ 2 G(s)} {ds^ 2} &=& E[X(X - 1)]\\&=&np^ 2 (n-1) (1 + p(s - 1))^{n - 2}\\
&=& np^ 2 (n - 1)
\end{eqnarray}

ここで得られた結果を使って分散を計算します。

 \begin{eqnarray}
Var(X) &=& E[X(X - 1) ] + E[X ] - E[X]^ 2\\
&=& np^ 2(n - 1) + np - (np)^ 2\\ &=& np(1-p)
\end{eqnarray}

以上です。

参考図書

頑張って勉強中です。

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